P.E.S.とは何か
今年度(2010年度)から新たに開講していくP.E.S..(Power of Expression)講座。
P.E.S.のコンセプトは、これまでのクセジュでの文章指導をより先鋭化し、創造的な表現法を身につけていくことを目標にしています。単なる記述対策のみならず、今後も必要とされるプレゼンテーション能力を高めていくためには、読むこと/書くことに対してどれだけ抵抗をなくすことができるか。さらにはただ書けるというだけでなく、そこに豊かな知識や教養を備えることが大切です。そこからはじめて相手に自分の"イイタイコト"が的確に伝わるものになると考えます。
コトバを鍛えて、論理的思考を開花させる P.E.S.が育む生徒達の姿
自分の考えを表現する方法はたくさんあります。P.E.S.では、さまざまな表現について学んでいきますが、最終的には"コトバ"にこだわっていきたいと考えています。それは、コトバを鍛えることによって、今まで「ただ何となく」何も考えずに行動していたことを論理的に考えるきっかけになると考えているからです。ついつい「ビミョー」とか「まぁまぁ」というコトバで片付けてしまいがちなことに意味を持たせ、自分で考えて行動することこそ、文章(生き方)に深みを持たせるために必要なことなのです。
まずは、さまざまな表現の方法を知り、日本語で表現する際のベースを構築していきます。そして時間をかけて、人が共感できるような表現や説得的な表現方法について学んでいきます。数学にしても社会にしても、「正解」に辿りつくまでの道すじは一つとは限りません。いずれの道すじを辿ったにせよ、それを人にわかるように"コトバ"で表現することによって、自分の行動や思考が、単なる"思いつき"から"自分の考え"として他の人と共有できるものになりえるのです。今年度から開講したこの新しい試みに是非ご期待下さい。
P.E.S.授業紹介<生徒作品>
中1P.E.S.作品
今回、中1では「ことば」にこだわりながら詩を創作しました。まずは日常の場面のなかでの自分の気持ちやモノの見方を改めて見直してもらい、自分の表現したい気持ちや情景はどの言葉を選択すれば相手に伝わるのか、じっくり考えてもらいました。
創作した詩のテーマは「日常の一場面」「身のまわりの世界」です。もちろん表現力を中心に見ていくためのものではありますが、このテーマによって日常の不安や疑問、不思議、悩み、訴え、うまくいかないことなど、生徒たちが何をどのように感じているのかもおぼろげながら見えてきました。「いつも大雑把な○○君がこんな繊細な詩を書いている」「この詩を書くには普段からそう思っているに違いない」など我々講師も驚かされる、または考えさせられる作品に出会うことができました。全ての作品を掲載することは出来ませんでしたが、生徒たちができる限りの正確な言葉となるよう吟味して書いたものばかりです。お楽しみ下さい。
- ●クセジュ
- 一生懸命プリントと戦って
レベル上げをしているところです
ペンが用紙に刻んでいく文字
たくさん戦うと増えてく消しカス
自分が強くなっていくのがよくわかる
もちろんセーブはノートに記録
近くの人と協力したり
となりの人を応戦したり
すこしにぎやかでもいいね
しっかりやらないと先生という名の
ボスが立ちはだかる
勇者をめざすには
ボスの話をよく聞くのもカギ
レベルが上がったら
次のステージへ
- ●たいようとひまわり
- たいようが痛かった
麦わらぼうしのにおいがした
アスファルトが汗かいていた
ひまわりがこっちを見てた
空のはく息がついてきた
おうちはとろ火で煮たってた
「チリン」と涼しくなって
でも
たいようは痛かった
ひまわりはこっちを見てた
- ●皿洗い
- じゃぶじゃぶ じゃぶじゃぶ 皿洗い
茶碗にひっつく お米つぶ
すてるなすてるな 叫んでる
水にながれて その声も
遠くはなれて 聞こえない
しっかり 全部食べてれば
米も あの世に行けたのに
- ●昼の悪魔
- ぐるー ぐるー ぐるぐるー
犬の様におなかをならす
私は顔がいちごみたいに真っ赤になった
昼食を見た時おなかの犬がマックスにうなる
おなかの悪魔も一緒にうなっている。
一口食べれば二人の元気がもどる。
一口食べれば二人の元気がもどる。
しかし、
ついにこの時間がやってきた。
昼にひそむ悪魔との戦いの時間。
それはねむりの悪魔
頭が勝手にあやつられる
ゆーら ゆーら ゆーら
先生の話が右の耳から左へぬけてゆく
でも左耳をおさえるようにストップさせる
お昼の時間にひそむ二人の悪魔
ねむりの悪魔とおなかの悪魔だ
- ●お昼の持久走
- ビューン シュッ
ビューン シュッ
リスのようなホッペタで、
私はろう下を走っている。
「ごちそうさま」のすぐ後で、
ビューン シュッ
ビューン シュッ
おなかの横がキリキリいう、
しかし私は何のその、
おかまいなしに走ってる。
ビューン シュッ
ビューン シュッ
迷路のような校舎の中で、
右へ左へ走る。
本当はやっちゃいけないけどな、
-
ビューン シュッ
ビューン シュッ
ゴールが見えたらうれしくなった
急に足が速くなる
今日こそ絶対アレを借りる
ビューン シュッ
ビューン シュッ
ゴールについた
たなの上のアレをさらい
受付に行ってこう言った
「この本借ります」
中2P.E.S.作品
中2の作品は「こんな夢を見た」の書き出しで創作した短編小説をご紹介します。そもそもこの書き出しは、夏目漱石の「夢十夜」を模倣したものです。「こんな夢を見た」で始まる10の夢の話。不思議な話もあればメルヘンチックな話、ノスタルジックな話、恐怖を覚える話などが綴られており、今回は第1話と第3話を読み込んでいきました。漱石の文章を取り上げた目的のひとつに、彼の文章にみられる簡潔な文の美しさ、論理的な表現、豊富な語彙、それらを含めた巧みな日本語表現に触れてもらうことです。普段読み流してしまうところまで意識して読んでいくことで、今まで無意識に頭にイメージを浮かべることができていたのには、細部にわたる工夫や、それを感じさせる"コトバ"による表現があったということ。これに気づく・感じることが今回の目標です。
そういった段階を経て、実作に移っていきました。どの作品も「こんな夢を見た」から始まるものですが、その後の場面設定、人物関係、表現技法は全くの創作になっています。完全創作の作品もあれば、実際に自分が今まで見た夢を思い出しながらそれを脚色して書いた作品もあります。中2に関しても普段から小説を書いているのではないかと感じさせるほどの作品、そして表現方法の巧さ、普段見せない一面、想像力の豊かさを感じさせる作品が数多く出てきました。
- ●こんな夢を見た。
- ここは川のように思えた。川の色は濁っているわけでもなく、透きとおっているわけでもない。でも川底が見えるような気がした。しばらくすると周りがさわがしくなったが人の姿は見当たらない。見えたのは川にうつる自分の姿だった。うつるといっても鏡ではない。川にうつる自分は何かをしようとしていた。川の流れはゆっくりだったから自分の姿の細かい所までよく見えた。なのに自分がやろうとしているところだけ濁っている。川の流れにそって歩いているとだんだんその場面が頭によみがえるような気がしてきた。かんきせんのまわる音、コンクリートのかべにかこまれた部屋、そして無数のサバイバルナイフが机におかれていた。夢中になって川にそって歩いていると「ドンッ」何かにぶつかった。するとそこには、さっきのサバイバルナイフで心臓をぶっさしている自分がいた。ふと川を見るとさっき濁っていた所が見えた。人生につかれた自分が自殺するところを。
- ●こんな夢を見た。
- 僕は某ハンバーグ店でハンバーグを頼んだ。10分後、料理が来たが僕はおどろいた。よく晴れた雲のように白いトーフだけ渡されたのだ。おどろいた僕は「これは何ですか」ときいた。店員は「トーフハンバーグです。横にあるソースをお使い下さい」といった。メニューをみると下に小さくトーフとかいてある。絵がなかったため、てっきり肉だと思っていたのに何も手をつけていないトーフが出てきたのだ。これではハンバーグではなく冷ややっこだと思った。しかたなく食べようとしてフォークで切ろうとした時に固いと気がついた。よく見たらダンボールだった。僕は「店長」を呼べといったら、クッキングパパの荒石似の人が出てきた。その人が、「なぜたべないの」といってナイフをもった。その顔は、今までに見たことのない恐さだった。その時に殺されると思った。目をつぶって死ぬのをまつと目が覚めた。
- ●こんな夢を見た。
- 裸足で暗い道路に一人、隣にはシルバーの自転車が一台止まっていた。その自転車のハンドルに触れると、夏でもないのに解けた鉄のようにあつく、触れた部分から自転車がどんどん赤く染まっていく。ぎょっとして後ずさりするとすぐ後から、怖いか?と聞こえた。振り返るとそこには燃えるように赤い目をした大きな猫が一匹、笑っていた。毛の色は夜のように黒く、その鮮血のように赤の目がゆらゆらと動く短いしっぽと共にこちらをじっと見つめていた。ニャーと鳴いたのでまさかこいつじゃないだろうと思うとそいつは前カゴに飛びのり
「西公園まで連れて行け」
と言った。戸惑いながら恐る恐る赤くなってしまった自転車に触れると、もう冷たくなっていた。
暗く、人一人いない道をゆっくりこいで進んでいくにつれてだんだん"行きたくない"という思いが強くなってきた。そんな私の表情を察したのかそいつは、怖いのか?帰りたいのか?と顔をニタニタさせて低いが不気味に通る声で聞いてきた。それを聞くと私は急に腹が立ってきて、怖くなんかない。お前の方が怖いんじゃないかと聞いた。猫は、ふん。まあいい。と言ったきり前を向いて静かになった。 公園についた。初めて来るのに心胸がバクバクしてきた。
「たしかここだったよな。このすべり台の下だったよな」
「うん」
「ここでお前とその友達は俺をいじめ続けて殺したんだよな」
「うん」
不思議なくらい素直になっていた。あとに覚えていたのは、不気味に光る猫の赤い目だけだった。
- ●こんな夢を見た。
- いろんな人に注意されて一人になりたい。虫とか変な生き物なんか大嫌い…。
気づいたら周り全体にお花畑があった。すごくきれいだったし、いいにおいがいした。虫がいるなと思って周りを見たら一匹もいない。うれしかったけどなんか少し、さみしかった。お花畑から大きいお城が見えた。意外に近そうだったから歩いていった。お城の中には自分の好きなチョコレートケーキ、フルーツなどおいしそうなものがいっぱいあった。けど野菜も食べなくちゃいけないんだろうなって見たら、自分が嫌いな野菜なんか一つもなかった。うれしかったけど、これでいいのかなって少し不安になった。気がかりがありながらもいっぱい食べた。その後にお城の奥の方に行ったらゲームだのマンガだの遊び用具がいっぱいあった。今度こそ宿題やらなきゃいけないかなと思ったらそのかけらさえなかった。うれしかったけど、このままでいいのかなと思った。けど、やりたかったからたくさんやった。おいしいものだけをたくさん食べて、やりたいことだけ
やってこんなに遊んでいたらきっと誰かに注意されるんだろうなあと思って覚悟していたら自分以外の人間なんか一人もいない。だから注意してくれる人なんかいるわけがない。そんなことに気づいた瞬間、とてもさみしくなった。その時初めて気づいた。幸せすぎると恐いなってことに。
起きてから、
「早く朝ごはん食べなさい!!(怒)」
こーいう注意も幸せなんだなっ。





